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2007.05.17 (Thu)

ですてにー! 

第3部第5話
「アラザルモノ」


【More・・・】





瑠衣「何をふざけたことを言っているんだ君は!」
翔「これが瑠衣の望んだ事じゃないのか?」
俺の意識は初めて見る光景に移った。

まだ映し出されてる雰囲気からは出ないが、それが過去ではない事は判る。

かといって、俺の最後の記憶からどのくらい時間がたっているかすらわからない。

瑠衣「これ以上・・・ これ以上兄君を苦しめないでもらおうか!」
俺の目の前には 夕暮れの玄関で、激昂する妹の姿があった。

翔「苦しめる?彼は幸せだよ」
瑠衣「何をっ!」
そして、俺の意識とは関係なく、言葉を発する俺がいた。

翔「暖かい思い出の中を泳いでるんだよ?
それのどこが苦痛なんだい?」
瑠衣「だから、君は成長していないのだお兄ちゃん!」
翔「僕は成長したよ。 姫の心と共にね」
瑠衣「ふざけるな!」
ドンッ!とマジで壁を拳で殴る妹。

瑠衣「君は・・・成長なんかしていない!
人は、人と関わらずに成長する事なんてできやしない・・・。
それを兄君は教えてくれた!」
翔「だからそうやって、ひねくれてしまったのかい?瑠衣」
瑠衣「僕の事をなんとでも言うがいいさ・・・。
ただ、兄君のカルマだけは馬鹿にしないでもらおうか!」
翔「はん!
あんな、人間でも無かったモノの何が正しいというんだ?」

二人居る”俺” 今表に出ているのは10年前の
”絵に描いたような理想的な人間”だった俺。

そして、意識の中で映し出される景色を見ている入れ替わりの俺。

俺は、元々芹沢翔なんかじゃなかった。
・・・という事だろう。

翔「僕はね、これ最善だと思ってやった事なんだよ。
元々彼は”存在すら許されていない”存在じゃないか?
そんなモノに惹かれる姫が可哀想だったんだ・・・。
長続きできるわけがない・・・運命によって裁かれるからね。
だから僕は彼を封印した、って事だよ」

”存在すら許されていない” そうだろう、俺は多分そういう存在だ。
死んだ人間の入れ替わりに、その身体に宿った意識。
それが俺。
要は、身体を横取りしたようなものだからな。

翔「瑠衣だってもう知ってるんだろ?彼がどんな存在だか
そして、姫がどんな子だかを・・」

翔「僕だってね、一度姫の事を裏切ってるからね・・・。
それの償いだよ。 
間違った方向へ導かないように・・・。
そう、今の瑠衣のように」

ガンッ!
もう一度壁を思い切り叩く瑠衣。 その拳からは血が流れていた。

瑠衣「僕は・・・。
僕は、兄君の事を間違っているなんて思ったことはない!」
翔「嘘をつくな」
瑠衣「君に何がわかる!」

あくまでも冷淡に声の調子を狂わせない表の俺。
息を切らせて、激しい憎悪の目でにらんでくる妹。
・・・久方ぶりの光景だ。

瑠衣「君には・・・思い出の一欠けらもないだろうが!」
翔「そんな顔で、目覚めたばかりの僕を見たね」
瑠衣「お前が兄君の過去を語るな!」
翔「ふっ・・・どっちが偽りかな?彼なのか・・・僕なのか」

俺は偽りの存在。
姫との約束を守るために・・・作られた存在。

・・・姫との・・・約束。

姫『ずーっと一緒に居ようね!』

・・・。

舞『そんな保証・・・どこにもないじゃない。』

・・・あぁ、無いな。

瑠衣「いいか、良く聞くんだ・・・この下衆野郎・・。

僕は、この性格になって後悔なんてしていない!
偽りだのなんか関係ない・・・。
もしだ、君がその”肩書き”にこだわるというならば
積み重ねてきたカルマが人の肩書きになるんじゃないのか?
君は何をした!
君に何が出来る!」

ガンッ!
さらに強く壁を叩く。

瑠衣「最初から居た、というちっぽけな肩書きに何を気取ってやがるんだよ・・。」
翔「僕は生まれた存在。 彼は作られた存在、そうだろう?」
瑠衣「だからそうじゃないって言ってるのがわからないのか!
人は辛いことも悲しいことも積み重ねてこそ力を手に入れていくんだ。
僕は最初だって兄君を嫌っていた・・・!

それは、お兄ちゃんの嘘に僕がだまされていただけだ・・・!
子供の無意識かもしれない。
けど、今だって君は嘘をついている。」
翔「僕が? 悲しいな・・。」
瑠衣「君に悲しむ権利すらない!
僕にあれだけ嫌われても・・・・兄君は僕の事を嫌わないでいてくれた!
ただ、兄としてのやるべき事を成すだけだった。
それがとても嬉しかったんだ!
初めて兄君とまともな会話をしたときに、
嘘をつかない人っていうのが、どれだけ良い人か思い知らされたんだ。」
翔「そんな兄じゃつまらないだろう?ろくに遊んでも貰えなかったじゃないか」
瑠衣「そんな、嘘で固められた”楽しさ”を語るな。
あぁ・・・その口を引き裂いてやりたい所だよ・・・。
遊んでもらう事が楽しさなのか?幸せなのか!?
確かに、馬鹿騒ぎした事なんて無い。
けど、僕が病気になった時は看病してくれたんだぞ・・・
下手だったけど、料理もしてくれたんだぞ・・・!」

あぁそういえば、したっけなぁ・・・。

翔「うん・・・じゃぁ、僕がこれからもっと幸せにしてあげるよ」
瑠衣「どの面さげて言いやがる!
あれだけ姫を傷つけといて・・・何が幸せにするだと!」

瑠衣「僕は今気づいたよ・・・。
あの時の兄君の事故は運命なんかじゃないってことを・・・。
君が仕組んだんだ!」
翔「・・・。」
瑠衣「違うのかい?言えよ・・・。
君はお兄ちゃんでもない・・・怨霊が!」
翔「なんでだろうね・・・ははは」

怨霊?
・・・その言葉で、俺の中にもう新たな考えが浮かんだ。
もし、あの時姫は・・・何を見ていたのか。

・・・。

翔「はははは・・・そうだよ・・全ては姫が悪いんだ」

翔「姫が僕の事を想うから、僕はここに残ってしまったんだよ。
確かにもう芹沢翔は存在しない。
姫が・・・・僕の事を想うから・・・。
僕は生まれたんだ・・・。
芹沢翔の残響としてね・・・。
そうだよ、姫の不安が僕そのものだ。
雪の降る季節に大切な人を自分が原因で失う という不安だ。
それが僕だよ。
一度膨らんで形を得た不安をいまさら断ち切るなんて
姫の決断が遅すぎたんだよ・・・。
だからもう僕は止められない。
姫の願いを叶うまではね」

姫の願い・・・。
それは・・・

翔「僕は・・・知ってるんだ。真実の永遠をね」

瑠衣「・・・。真実の・・・永遠」
翔「君も気づき始めたんだろ?
もう彼は戻ってこない。
僕も彼もこの身体の持ち主ではないのだから・・・。
彼は姫のための存在。
もう姫との約束がなければ存在する意味すらなくなるんだよ。
でも僕は、姫に永遠を授ける存在だからね・・・ふふふふ」

そして、表の俺は瑠衣の横を通り過ぎて玄関をくぐった。

一本のナイフを握って。

瑠衣「・・・兄君・・。」
・・・。
結局何もできなかった。
僕は大切な兄を取り戻すことも、あの亡霊を消す事も。
・・・兄君はどう思っているのだろう。

僕は・・・兄君を殺してよかったのかな・・・。


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